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株式会社サクシード
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代表の池田です。
建物の劣化、それは建築時からゆっくりと進行していきます。
それはなにも壁表面だけに限らず、壁内部にまで及んでいることも。
そういった状況は、プロの診断でしか判別する事はできません。
今回の記事では、そんな目に見えない劣化状況を分かりやすく確認できる「赤外線サーモグラフィー建物調査・診断」に関してお知らせいたします。
是非この記事を読み、調査に関する知識を付けて下さい。

建物の劣化は、何も外壁や屋根の表面にだけ生じるわけではありません。
例えば、コンクリート造の建物であれば、外壁の表面に薄いモルタルの層があります。
この層は、様々な要因により剥がれることがあります。
また、建物内部の鉄筋が何らかの原因で錆び、膨張した場合、内部からコンクリートが割れることもあります。
これらの状況は、外から建物を観察するだけでは分かりません。
そういった状況を事前に判断する方法として、従来では「打診調査」を行って判別していました。

今回ご紹介する赤外線調査は、打診調査に並ぶ精度の調査となります。
以下の表をご覧ください。
これは赤外線調査と従来の打診調査を比較した表です。
目視での診断に関しては精度などが図れない為、除外しております。
| 赤外線診断 | 打診診断 | |
|---|---|---|
| 診断手法 | 適正環境下における撮影により調査対象面の温度分布を測定・記録。 客観的な画像と数値データを記録。 | 作業者の主観的判断で判定結果を記録。 経験とノウハウに頼る部分が大きいため、複数人で診断をすると結果にバラつきが出る。 |
| 精 度 | 赤外線診断と打診調査は正確で、精度は同等程度。 但し、客観性と精度に優れている赤外線調査に比べ、調査者の主観的判断に頼る打診調査は信頼性が低い技術者が調査した場合、精度が著しく劣る場合がある。 なおかつ、診断者の感覚による記録の為、再現性や検証性の面で劣る。 | |
| 調査の効率 | 少人数で効率よく実施できるため現地作業費を低く抑えられる。 | 現地作業自体に手間がかかる為、現地作業人工が高額。 経験や技量が高い技術者を配置する場合、更に現地人工が高い。 |
| 安全性 | 建物に直接触れる事が無い為、建物への影響は皆無。 離れた場所から調査を行う為、作業時のリスクが皆無。 | 建物への損傷、症状の悪化が懸念される。 足場作業となるため、落下事故や足場崩壊のリスクもある。 |
この表を見て分かる通り、赤外線調査と打診調査の精度の差に大きく違いはありません。
一方、打診調査は担当する技術者によって結果にバラつきが出ることを覚えておきましょう。
この項目は上記の表と照らし合わせてご覧ください。
打診調査は、実際に建物に打診棒を擦ったり叩いたりすることで劣化判別を行います。
建物の高所を調査する場合、調査物件に足場を建てて行うか、ゴンドラなどの使用が必ず必要となります。
実際、これらにはかなりのコストが掛かります。
一方、赤外線調査は建物に対して非接触の調査です。
遠方から離れて撮影を行うため、足場を必要としません。
そのため調査費用のみで、足場に掛かる高額なコストを抑えることができます。
また、調査者が少なく済むため、同時に人件費も抑えることができます。

従来の調査方法である打診調査は、直接壁を叩いたり擦ったりする物理的な診断となります。
そのため作業の過程で異常部の劣化が更に進行してしまう恐れがあります。
また、調査中に外壁が剥がれ落下してしまい、歩行者を傷つけてしまうといった心配も。
一方赤外線調査は、完全な非接触検査となります。
建物に触ることなく調査ができますので、建物の状態に影響を及ぼしません。

従来の打診調査では、建物に近づき直接壁を叩くため、窓などの開口部付近を調査する際、建物内部の状況が見られてしまうケースがあります。
プライバシー保護の観点から、調査者が建物内部を見られる状況というのはあまり好ましいものではありません。
その反面、赤外線調査では建物の離れた箇所から撮影を行うため、室内の様子まで見ることはできません。
また、赤外線で見ることが出来るのは壁表面からせいぜい数センチの深さです。
そのため、熱情報から内部の人の様子などを透視し、観測することはできません。

建物全ての壁面を叩いて調査する打診調査は、非常に手間と時間が掛かります。
建物の規模が大きければ大きいほど、足場を建てる時間と、調査に割く時間が大きくなるのです。
一方赤外線調査の場合、一人の調査員が一日かけサーモグラフィカメラで壁面を撮影していくのみとなります。
また、赤外線カメラを搭載したドローンを使用するケースもあり、更にスピーディーな検査を行えるのも利点です。

打診調査では、調査者の主観や経験に基づいて劣化部を判別します。
そして調査報告書を作成し、提出します。
これらの報告書には図面が掲載され、劣化部分にチェックがしてあるだけとなります。
工事を依頼した方には、規模や劣化状態などが非常に分かりにくいのではないでしょうか。
一方赤外線調査では、この調査報告書に熱分布画像を添付し提出します。
そのため、建物にあまり詳しくない方でも規模や劣化状態を把握しやすい調査となります。

平成20年以降の建築基準法の改正により、特定建築物の定期報告にて外壁全面診断が必要となりました。
これは、竣工や外壁改修から10年を経た最初の調査の際、建物全面に打診による点検や調査を行う必要がある、という改正です。
実はこの改正では、打診調査でなくとも赤外線カメラを用いれば「赤外線サーモグラフィーカメラを用いた劣化診断調査」として国土交通省の診断指針で認められているのです。
すなわち、調査費用が安価で済み、劣化状況をデータで分かりやすく提示し、なおかつ建物を傷つけることが無い、国土交通省に認められた「イイことづくめの調査」なのです。

何故赤外線により劣化が判明するのか。
それは「健全部と劣化部の表面温度の差」による判断です。
下記画像をご覧ください。

物質の熱の伝わりやすさは「熱伝導率」で表されます。
空気の様な熱を通しにくい物質は、熱伝導率が低く、建物に使用されているタイルやコンクリート等は熱を伝えやすい物質です。
例えば対象とする構造物の外壁内部やタイルに浮きがあった場合、日中は日射により該当部分が温められますが、浮きの空気層が断熱材の代わりになってしまい、健全部より温度が高くなります。
一方、夜間の日射が無い時間は、建物内部に溜まっていた熱が放熱されますが、浮きの空気層が遮断する事により、健全部より温度が低くなるという訳です。
こういった健全部との表面温度の差により、比較的簡単に劣化部の調査を行う事が出来るのです。

他にも、外壁内部の雨水の侵入経路を特定する場合にも赤外線が有効です。
壁内部に雨水が侵入し漏水している場合は、外気温が上昇する時間に当該箇所の撮影を行う事で、内部の水分が気化し、その場所だけが低温になります。
逆に、外気温の下がる時間になると、水分滞留部の温度変化がゆっくりになるため健全部より高温表示されるのです。
空気だけではなく、水分の熱伝導率も考慮されて調査が行われるのです。

赤外線調査を行うには、数々のステップがあります。
実際に調査を依頼する前に、大まかな流れをご理解ください。
まずは「事前調査・資料入手」です。
赤外線調査を行うには調査の前段階の準備が必要不可欠です。
赤外線調査では劣化部と健全部の温度差を劣化の判断基準とします。
ですから、太陽光が該当箇所に当たらない物件ではそもそも調査を行う事が不可能となります。
そういった建物が置かれている環境や、周辺状況、使用材質を知り、さらに事前に建築物の図面、過去の修繕履歴などを入手し、調査計画を立てるのがこの段階となります。
依頼主へのヒアリングは勿論、撮影時に影となってしまう樹木の影響や、外壁の汚れや形状にまでしっかりと目を通す段階です。

調査を終えると、次はいよいよ「現地撮影」となります。
サーモグラフィカメラにて実際に建物を撮影し、温度変化を計測する段階です。
当日の天候や気温を確認し撮影できると判断した場合のみ、調査を行う外壁面に太陽光の当たる時間を確認しながら行います。
外壁面に日光の当たる時間は、方角により大幅に変わります。
ですので、建物の全面を調査する際は1日がかりでの撮影となります。
外壁内部の浮きを調査する際は、日射による温度変化を判断材料としますが、壁内部への雨水の侵入や、雨漏りの調査を行う際には少々調査方法が異なります。
漏水にまつわる調査は、問題箇所の付近に散水を行いながら温度変化を確認する事もあります。

撮影が終わると次は「画像解析」に移ります。
現地撮影後に、専用ソフトにて解析を行い診断書を作成する前の段階です。
現場にて撮影したデータを専用解析ソフトに取り込み、劣化部分の状況を確認します。 この時に明確に原因を突き止めるため、その後の補修・修繕で効果的な改善をもたらすことができます。

解析完了後、劣化確認が完了した画像を用い、調査報告書を作成します。
打診調査等の調査者の感覚によるものではなく、しっかりとしたデータでの提出となります。
調査報告書には、調査時間や条件などの詳細も記載されます。
また、診断後予想される症状も記載し、提供します。
この診断書を基に、今後の修繕プランを練る段階でもあります。

最終段階は「補修・修繕」です。
赤外線調査を終え、実際に建物を補修・修繕、仕上げる段階です。
赤外線調査によりピンポイントでの補修が可能になるため、最適な範囲に絞った工事が行えるようになります。
調査報告書にてプロが考えうる最善の修繕方法を提示しているので、建物に生じている大きな問題を解決する事が出来るのです。

上記でご説明したように、赤外線調査は建物を撮影するだけの調査です。
しかし、建物が置かれている環境や撮影条件、その他様々な要因を考慮して行われます。
そのため、建物に関する知識はもちろんの事、調査経験が豊富である必要があります。
調査実績の多い業者へ依頼する事をお勧めします。

本来、建物の赤外線調査を行うには特別な資格は必要ありません。
赤外線カメラや赤外線ドローンを持ってさえすれば、誰でも撮影を行うことができます。
しかし前述したように、調査には建物が置かれている環境や調査条件を知っておく必要があります。
また、調査報告書の作成には特別な知識が必要となります。
なので「赤外線建物診断技能師」の資格を持っている会社に依頼するのが最適と言えます。

赤外線調査・診断の一番重要な要素と言っても過言ではない「調査報告書」ですが、依頼する前にこれらの質を確認するようにしてください。
報告書の見本を見せてもらう事により、調査会社がどのような質の報告書を提出してくれるか参考になります。
また、調査報告書に今後考えうる補修や修繕方法も記載されているか確認してください。

いかがでしたか?
赤外線建物調査・診断に関してご理解いただけましたでしょうか?
この赤外線調査は、非接触・非破壊でロープや足場の設置が不要、比較的安価でスピーディーな調査となります。
依頼者にとっていいことづくめの調査と言えるのではないでしょうか?
近年、取り入れる方が増えている調査のため、建物の状態が気になる方は是非検討してみてはいかがでしょうか。
建物の劣化状態を理解し、健康状態を保ちましょう!
